嵐山「熊彦」来栖料理長インタビュー|京都の名料亭が、大豆だしと向き合った日。

「料理人の目で見ると、大豆だしには面白い可能性がある」と語るのは、京都・嵐山の料亭「熊彦」で腕を振るう来栖料理長だ。2023年5月、美濃与が持ち込んだ「焙煎大豆のだし」という前例のない素材に、真剣に向き合ってくれた料理人がいた。

京都の料亭が、大豆のだしで懐石を作った

2023年5月25日、嵐山の緑が青々と茂る初夏の朝のことだ。美濃与から持ち込まれた焙煎大豆を前に、来栖料理長は静かに問いを立てた。「これで、どんな料理ができるか」と。

その日の懐石は、大豆だしを主役に据えた特別コースとなった。来栖料理長が取り組んだのは、大豆だしの「濁り」や「やさしい甘み」という個性を欠点として隠すのではなく、そのまま活かすことだった。みぞれあんかけ、煮つけ、炊き合わせ。旬の素材と大豆だしが溶け合い、繊細でありながら奥行きのある味わいが生まれた。

「だしの素材というのは、組み合わせ次第で、使いようでいろいろな料理に使えるんです。大豆だしは、それを改めて教えてくれる素材でした」。

「濁り」は欠点ではなく、個性だった

美濃与が最初に懸念していた「大豆特有の濁り」。澄んだお吸い物には使えないかもしれないという不安を、来栖料理長はあっさりと解消してくれた。

「お吸い物に使わなければいい。みぞれあんかけや煮つけなら、濁りはまったく気になりません。むしろ、とろみと甘みが料理に深みを与えてくれる」。

その言葉に、長年料理と向き合ってきた人の視点がにじんでいた。

伝統の壁と、大豆だしの新しい可能性

一方で、来栖料理長は正直だった。「京料理、和食という長い伝統の中で、わざわざ大豆をだしの素材として定番メニューに導入することは、難しいとは思います」。

昆布、かつお節、煮干し。何百年もかけて磨き上げられてきた日本のだし文化に、新素材が割り込む余地は、そう簡単には生まれない。

ただ、その言葉の裏には確かな期待が込められていた。「新しいフィールドで、ビーガンの方や外国の方向けに発信していけるんじゃないですか。可能性は十分にある」。

伝統の文脈に無理に入り込もうとするのではなく、まだ誰も切り開いていない場所で価値を示すこと。そのほうが大豆だしの個性が活きるのではないか、という示唆だった。

料理人が認めた、大豆だしのポテンシャル

この日の懐石から美濃与が得たものは大きかった。プロの料理人が美味しいと評価し、実際にコースの中に組み込んでくれた事実。濁りや甘みという大豆だし独自の個性は、欠点ではなく武器になりうると気づかせてもらった。

嵐山「熊彦」での体験は、美濃与にとって大豆だし開発における重要な一歩となった。その日の懐石が、大豆だし開発の確かな手応えになった。

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