2020年、第1回ヴェジタリアンチャンスJAPANのファイナリストに選ばれたIMUホテルの片岡シェフ。ビーガン料理の第一人者として注目される彼が、美濃与の大豆ペーストと大豆だしガラを実際の料理に活用した。現場で感じたリアルな評価を、率直に語ってもらった。
「素材としての完成度は高い」。プロが認めた大豆ペーストの実力
2025年9月から12月にかけて、IMUホテルのヴィーガンメニューに美濃与の大豆ペーストと大豆だしガラが登場した。ポルペッティーニ(イタリア風肉団子のヴィーガン版)、がんもどき、アジフライ、ハンバーグ。片岡シェフは大豆ペーストをさまざまな料理に展開した。
「素材としての完成度は高い、と感じています」。片岡シェフの評価は明確だった。
最大の強み:「大豆の生臭さがない」
ビーガン料理の現場で大豆素材を使う際の最大の課題は、大豆特有の生臭さだという。「大豆臭さは、ビーガン感が強く出てしまう要因になりやすい。お客様が”ビーガンだから仕方ない”と感じてしまうような、妥協の味になってしまうんです」。
しかし美濃与の大豆ペーストは、焙煎してから水煮することで、その生臭さがきれいに抜けていた。「生臭さがないということは、料理として普通に美味しいということ。ビーガンのお客様にも、そうでないお客様にも、分け隔てなく出せる料理になる」。
これは他の大豆素材にはない、美濃与ならではの強みだと片岡シェフは語った。
「大豆=プロテイン」。ビーガンのお客様が求めるもの
片岡シェフがもう一つ強調したのは、プロテインとしての大豆の価値だ。「ヴィーガンのお客様は、プロテインをしっかり摂りたいという方が多い。豆腐や大豆由来の素材があると、それだけで喜ばれます」。
特に外国人のヴィーガンのお客様からは、タンパク質源となる食材へのリクエストが多いという。大豆ペーストはプロテインをしっかり含みながら、美味しく食べやすい形で提供できる。ホテルのヴィーガンメニューにとって、まさに理想的な素材だった。
「後味のねっとり感」が活きる料理、活きない料理
片岡シェフのインタビューは、プロの視点ならではのリアルな評価が続いた。
大豆には「後味がねっとりする」という特性があり、これが料理によって長所にも短所にもなるという。「ポタージュやポルペッティーニには最適です。大豆に含まれるペクチンによるとろみが活きる。一方でさっぱりした料理には向かないこともある」。
また、大豆の香ばしさをさらに強めたペーストにして活用する方法、アジフライのようにきのことしっかり焼き切って使う調理法など、素材の特性を最大限に引き出す工夫も語ってくれた。
「美濃与のストーリーが、素材の説得力を増す」
片岡シェフが評価してくれたのは、素材の品質だけではなかった。
「歴史ある豆屋としての背景、美濃与のストーリーがあるからこそ、素材としての説得力が増す」。単なる食材ではなく、職人の技と歴史が宿った素材だからこそ、プロの料理人が自信を持って使える、ということだ。
コラボ期間が終わった今も、大豆だしガラは片岡シェフのメニューに定番として残っている。料理人が続けて使うということが、何より正直な評価だ。
将来の夢:「大豆出汁でアクアファバができたら理想的」
インタビューの最後に、片岡シェフは一つの夢を語ってくれた。「大豆出汁でアクアファバが作れるようになれば、さらに可能性が広がると思います」。
アクアファバとは、ひよこ豆などを煮た時に出る汁液で、卵白の代替として使われるヴィーガン料理の注目素材だ。大豆だしからアクアファバが生まれれば、さらに可能性は広がる。美濃与と片岡シェフの挑戦は、まだまだ続く。
片岡シェフのプロフィール
IMUホテル所属のヴィーガン料理シェフ。2020年、第1回ヴェジタリアンチャンスJAPANファイナリストに選出。植物性食材の可能性を追求し続ける日本のヴィーガン料理界をけん引する存在。