コラム, 美濃与農園

生の国産大豆を焙煎から製粉まで。「美濃与 大豆焙煎所」の挑戦

2026年1月17日

大豆の焙煎
目次

明治35年(1902年)の創業以来、私たち美濃与は120年以上にわたり、ここ京都の地で和菓子原材料の専門店として歩んでまいりました。「良いお菓子は、良い原材料からしか生まれない」その信念のもと、職人の方々の厳しい目に適う素材をお届けすることこそが、私たちの使命であり誇りです。

しかし、時代と共に日本の農業を取り巻く環境は大きく変化しました。生産者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加。かつては当たり前のように手に入った良質な国産大豆が、いつしか「手に入りにくい貴重品」となりつつあります。

「ただ原材料を仕入れて売るだけの問屋であってはいけない。日本の食文化と農業の未来を、自分たちの手で守らなければならない」

その強い危機感と覚悟から生まれたのが「大豆プロジェクト」です。そして2019年、京都市伏見区に大豆製品専用の工場「美濃与 大豆焙煎所」を構えました。ここは単なる製造工場ではありません。産地から届いた生の国産大豆を、自社で焙煎・製粉する場所です。

なぜ、「自社焙煎」にこだわるのか

私たちが大豆焙煎所を立ち上げた最大の理由は、「鮮度」と「対話」にあります。

私たちは考えました。「コーヒーが挽きたて・淹れたてを最高とするように、きな粉や大豆製品も、焙煎した瞬間の香りが最も素晴らしいのではないか」と。だから生の大豆を仕入れ、焙煎から製粉までを自社で行っています。

大豆は産地や品種、その年の気候によって水分量や硬さが微妙に異なるため、届いた豆の状態に合わせて焙煎しています。

「大豆専用工場」にした理由

食の安全が厳しく問われる現代において、私たちにはもう一つ、譲れないこだわりがあります。それは、この伏見の工場を「大豆専用工場」としたことです。

私たちはコンタミネーション(アレルギー物質の意図しない混入)のリスクを抑えるため、大豆以外の持ち込みを一切行わない体制を整えました。 これにより、食品メーカー様や和菓子店様には、原料の由来がはっきりした大豆製品をお届けできます。

原材料を扱う商いを100年以上続けてきた者として、ここは譲れない一線だと考えています。

京都・南丹の畑で続けている試験栽培

私たちの挑戦は、工場の中だけで完結するものではありません。 京都府南丹市の畑では、社員自らが土に触れ、種をまき、草を取りながら、大豆の栽培に挑戦しています。まだ試験的な取り組みで、ここで穫れた大豆が焙煎所に入るところまでは至っていません。

現在、この焙煎所では、京菓子向けのきな粉・深煎りきな粉だけでなく、深煎りのコクを楽しめる「大豆珈琲」や、動物性原料を使わない「大豆だし」など、大豆を起点にした製品をつくっています。これらは、和食文化の枠を超え、ヴィーガンや健康志向が高まる世界中の食卓へアプローチできる可能性を秘めています。

未来の「おいしい」を、共に創る

美濃与 大豆焙煎所は、私たちの夢の到達点ではなく、あくまで出発点です。

国内の産地で育てられた大豆を受け入れ、付加価値の高い商品として世に送り出すことで、農業の持続可能性に貢献したい。 和菓子職人の方々が「このきな粉なら、新しいお菓子が作れる」とインスピレーションを抱くような素材を提供し続けたい。

一粒の大豆の向こう側に、農家の笑顔があり、職人の情熱があり、そして何より、それを口にするお客様の「おいしい」という幸せな瞬間がある。そのすべてのつながりを大切に紡いでいくことが、京都の地で商いを続けてきた私たちの責任です。

伝統を守るとは、過去を繰り返すことではなく、常に新しい火を灯し続けること。 香ばしい大豆の香りが漂うこの伏見の焙煎所から、私たちは次の100年に向けた、新しい和菓子の文化と日本の農業の未来を、皆様と共に創り上げてまいります。

大豆プロジェクトの紹介ページ

大豆焙煎所の製品一覧

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美濃与は京都に拠点を置く京菓子原材料の専門商社です。本記事で取り上げた原料の業務用調達や、お試しサンプル、ロット・規格のご相談など、和菓子製造の現場に寄り添った提案を行っています。

美濃与の事業内容や強みは 事業内容・選ばれる理由 をご覧ください。実際のお取引の流れは 導入の流れ・発注方法、ご質問は よくあるご質問 にまとめています。自社で取り組む大豆プロジェクトの全体像は 大豆プロジェクトのページ でご紹介しています。個別のご相談は お問い合わせ または 資料ダウンロード から受け付けています。

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