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梅果汁は2種類ある?搾るのと糖で抽出するのは別物

2026年3月10日

目次

梅の液体原料を発注するとき、「梅果汁」という言葉だけでは中身が決まりません。

美濃与には梅果汁と梅糖抽出梅果汁の2つがあり、作り方も味の出方も別物です。同じ名前が付いているぶん、取り違えると味の設計からやり直しになります。

梅3銘柄を製法と味の出方で比較した図
「梅果汁」は2種類ある

搾るか、糖に漬けて引き出すか

違いは製法にあります。

梅果汁は梅を原料として搾汁した、梅本来の風味と酸味を活かした液体原料で、余計な味付けを行わず、梅が持つ爽やかな酸味と香りがそのまま感じられるとされています。味の出方は酸味にキレがありながらも後味はすっきりです。

梅糖抽出梅果汁は梅に糖を加えて浸漬し、時間をかけて抽出した梅由来の果汁です。梅の持つ爽やかな酸味と、糖抽出ならではのまろやかな甘みが調和した、角のない味わいとされています。

銘柄 作り方 味の出方 規格
梅果汁 搾汁 酸味にキレ。後味はすっきり 味付けなし 18L
梅糖抽出梅果汁 糖に漬けて抽出 角のない味わい。まろやかな甘み 糖を加えて抽出 22kg
梅甘露煮 蜜煮(粒) 甘味と酸味のバランスが良い 蜜煮 9L

糖抽出は加水していない

梅糖抽出梅果汁の説明には、味の設計に直結する記載があります。加水せずに抽出しているため、風味が薄まりにくく、香りとコクが安定していますという一文です。

糖に漬けて出てきた液をそのまま使っている、ということです。薄めていないぶん、少ない配合量でも梅の輪郭が出ます。逆に、入れすぎると甘みも一緒に増えます。

甘さを自社で決めたいなら搾汁のほう

梅糖抽出梅果汁はすでに糖が入っています。これを使うと、梅の風味と甘さがセットで入ってくるということです。

糖度を自社で設計したい商品なら、味付けをしていない梅果汁のほうが動かしやすくなります。砂糖の種類を変えて味を作り分けたい場合も同じです。「梅の風味だけ欲しい」のか「梅の風味と甘さをまとめて欲しい」のかで選び分けてください。

原料の規格や製造工程をまとめた資料をご用意しています。選定の判断材料としてお使いください。

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2品とも沈殿する

受入や仕込みで戸惑いやすい点です。

梅果汁は沈殿や分離を問うFAQに原料由来の成分により沈殿が生じる場合がありますが、品質には問題ありません。使用前によく攪拌してくださいと答えています。梅糖抽出梅果汁も原料由来の成分により沈殿する場合がありますが、品質には問題ありません。使用前によく攪拌してくださいと同じ趣旨です。

異常ではありません。ただし攪拌の一手間を工程書に書いておかないと、ロットによって酸味の出方が変わります。タンクの底に成分が溜まったまま上澄みだけ使うと、同じ配合でも味が薄くなります。

18Lや22kgという荷姿なので、開けるたびに全体を混ぜてから計量する運用にしてください。

希釈して使う前提の原料

2品とも、希釈の可否を問うFAQに可能ですと答えています。梅果汁は用途に応じて水や炭酸などで濃さを調整できます、梅糖抽出梅果汁は水や炭酸などで用途に応じた濃さに調整できますとされています。

飲料の用途が両方に挙げられているのはこのためです。原液のまま使う設計だけでなく、割って使う設計も想定されています。

加熱にも耐える

梅果汁は加熱後も梅由来の酸味と香りが感じられます、梅糖抽出梅果汁は加熱後も梅の風味が残りやすい果汁ですとされています。

ゼリーやソースのように加熱工程を通す商品でも使えます。香りが飛びやすい果実だと仕上げ工程に回すことになりますが、梅にはその制約がありません。柚子は形態によって加熱に耐えるかどうかが分かれますので、柑橘系と同じ扱いにしないでください。


ホールで使うなら甘露煮

液体2品とは別に、粒の梅があります。なお美濃与では刻んだ果肉や練り状の梅も扱っているので、ホール以外の形が必要な場合はそちらもご相談ください。

梅甘露煮は完熟に近い梅を選別し、果肉の形を崩さないよう丁寧に下処理した後、時間をかけて蜜煮に仕上げていますとされ、9Lサイズならではの大粒で存在感があり、丸ごと使用してもカットしても美しい仕上がりになります。

熟度が仕上がりに効く設計をされる場合は、入荷時の熟度を含めて発注前にご確認ください。同じ「甘露煮」でも、原料の熟度によって食感と色の出方が変わります。

カットの可否を問うFAQには可能です。果肉がしっかりしているため、カット後も形が崩れにくく、断面もきれいに仕上がりますと答えています。

シロップも使える

見落とされやすいのがこれです。シロップの使用可否を問うFAQに使用できます。梅の香りと甘みがあり、ソースや仕上げ用のシロップとして活用できますと記載があります。

粒だけ使ってシロップを捨てると、原価の一部を捨てることになります。粒を主菓子に、シロップをソースや別商品に回す設計にすると、1つの原料で2つの用途がまかなえます。使い切りの計画に入れておいてください。


甘露煮は殺菌工程を通っている

微生物管理の考え方に関わる点です。

梅甘露煮の規格書には、密封したあとに加熱殺菌を行う工程が記載されています。

これは原料によって扱いが分かれるところです。粉体を混ぜ合わせただけのミックス粉のように、規格書上で加熱も殺菌も行っていないものもあります。そうした原料は、微生物管理を使う側の加熱工程で担う前提の設計です。和菓子用のミックス粉については友シリーズの記事で扱っています。

同じ会社から仕入れる原料でも、殺菌を通っているものと通っていないものがあります。加熱しない菓子に使う原料を選ぶときは、ここを規格書で確認してください。

アレルゲンは該当なし

梅甘露煮の規格書では、アレルギー物質は該当なしとされています。梅を1品足しても、表示欄のアレルゲンは増えません。

ただし規格書には、製造工場で他のアレルゲンを扱っているかどうかを書く欄が別にあります。該当なしという1行だけを見て判断せず、その欄まで確認してください。原料そのものにアレルゲンが入っていないことと、同じ工場で他のアレルゲンを扱っていないことは別の話です。

開封後は冷蔵

規格書では、開封後は清潔な容器に入れ密封して冷蔵保存するようご案内しています。9Lという荷姿を開封したあと、どこに置くかを先に決めてから発注してください。


味の方向から候補を絞る

出したい味 候補 商品ページ・規格書の根拠
酸味をはっきり出したい 梅果汁 酸味にキレがありながらも後味はすっきり
角のないまろやかな味にしたい 梅糖抽出梅果汁 糖抽出ならではのまろやかな甘みが調和した角のない味わい
糖度を自社で設計したい 梅果汁 余計な味付けを行っていない
少ない配合で梅を立たせたい 梅糖抽出梅果汁 加水せずに抽出しているため風味が薄まりにくい
断面に梅を見せたい 梅甘露煮 カット後も形が崩れにくく断面もきれいに仕上がる
1原料で2用途に使いたい 梅甘露煮 シロップもソースや仕上げ用として活用できる
加熱工程を通す商品に使いたい 3銘柄とも可 加熱後も酸味と香りが感じられる/風味が残りやすい

発注前に確認しておく項目

確認すること なぜ見るか
糖が入っているか 糖抽出はすでに甘みが入っている。糖度を自社で決めるなら搾汁のほう
攪拌の手順 液体2品は沈殿する。工程書に書かないとロットで味が変わる
希釈の設計 原液か割るか。飲料用途なら濃さの基準を先に決める
殺菌工程の有無 甘露煮は殺菌を通っている。加熱しない菓子に使うなら規格書で確認する
シロップの使い道 捨てると原価を捨てることになる。別用途に回せるか
開封後の置き場所 甘露煮は開封後冷蔵。9Lをどこに置くか
同一工場の他アレルゲン 該当なしの1行だけで判断しない。規格書の別欄まで見る

よくある質問

梅果汁と梅糖抽出梅果汁はどちらを選べばいいですか

甘さを自社で決めたいなら梅果汁です。味付けをしていないため、砂糖の種類も量も自由に設計できます。梅糖抽出梅果汁は糖に漬けて抽出したもので、酸味と甘みが調和した角のない味わいになります。すでに味が決まっている状態で使いたい場合はこちらです。

底に沈殿が出ていますが使えますか

使えます。商品ページも、原料由来の成分により沈殿が生じる場合があるが品質には問題ない、としています。使用前によく攪拌してください。上澄みだけを使うと、同じ配合でも味が薄くなります。

加熱すると酸味は飛びますか

残ります。梅果汁は加熱後も梅由来の酸味と香りが感じられる、梅糖抽出梅果汁は加熱後も梅の風味が残りやすい、と記載があります。ゼリーやソースのように加熱工程を通す商品でも使えます。

甘露煮のシロップはどうすればいいですか

使えます。梅の香りと甘みがあり、ソースや仕上げ用のシロップとして活用できる、とご案内しています。粒とシロップで用途を分けると、1つの原料で2つの使い方ができます。

加熱しない菓子に使いたいのですが

梅甘露煮は規格書で、密封したあとに加熱殺菌を行う工程を通っています。同じ会社の原料でも殺菌を通っていないものがあるので、加熱しない設計の商品では必ず規格書でご確認ください。判断に迷う場合は、菓子の工程を教えていただければご相談できます。


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梅は同じ名前の原料でも、製法によって味の出方が変わります。酸味で立たせたいのか、まろやかにまとめたいのか。作りたい商品の方向を教えていただければ、搾汁か糖抽出かの判断からご相談いただけます。粒とシロップの使い分けもあわせてご提案します。

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