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ソルビトールは何のために入れる?日持ち・離水・表示の関係

2026年8月28日

甘味目的なら用途名併記、離水防止なら物質名だけになることを示した図
目次

日持ちを延ばしたいという相談で、保存料の前に検討されるのが糖の配合です。保存料と日持ち向上剤の違いでも選択肢のひとつとして挙げました。

ただ「糖を増やす」と言っても、何を増やすかで結果が変わります。砂糖を増やせば甘くなりますし、水あめとソルビトールでは効くところが違います。そして何の目的で使うかによって、原材料表示の書き方まで変わります

比較項目 砂糖・黒糖 水あめ ソルビトール
位置づけ 食品 食品 食品添加物(指定添加物)
表示 原材料名に品名を書く 原材料名に品名を書く 添加物として書く。目的によって用途名の併記が要る
主に使われる理由 風味を加える 風味、口当たり、色つや、離水防止 風味、離水防止、日持ち、保湿
美濃与の規格 粉糖 4kg×5/黒糖パウダー 20kg 米飴 25kg ソルビトールF 22kg

いちばん大きい違いは1行目です。砂糖や水あめは食品ですが、ソルビトールは食品添加物にあたります。ここから表示の話が始まります。

甘味目的なら用途名併記、離水防止なら物質名だけになることを示した図
何のために入れるかで表示が変わる

ソルビトールは糖アルコール

まず何なのかを押さえます。農畜産業振興機構の調査資料は、ソルビトールについて、糖アルコール類の一つで、タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しないことや消化・吸収されにくいなどの性質を持つことから、加工食品や低カロリー甘味料としても使用されている、と説明しています。

砂糖の仲間ではありますが、砂糖そのものではありません。加熱しても変色しにくいという性質は、白く仕上げたい菓子では効いてきます。

実際は何のために使われているか

同機構は食品製造事業者へのアンケート調査を毎年実施していて、令和3年度の結果が公表されています。294社に配布して97社から回収した調査で、回収率は33.0%です。ソルビトールを使用する理由として挙げられたのは次のとおりでした。

使用する理由 件数
商品に風味を加えるため 8件
甘味料そのものの味、風味が良いため 7件
離水を防ぐため 7件
商品を日持ちさせるため 7件

そのほかの理由として、柔らかくするため、保湿のため、加熱した際の褐変を低減するため、が挙げられています。

件数の差は小さく、順位として読むものではありません。押さえたいのは、理由が一つに寄っていないことです。甘味や風味のために使う企業と、離水や日持ちのために使う企業がほぼ同数います。同じ原料が違う目的で使われている、という点が後の表示の話に効いてきます。

なお上位2つは甘味・風味に関わる理由です。この調査自体が甘味料の利用形態を調べたものなので、回答企業は甘味料として使っている前提が濃いことにも留意してください。

和生菓子でも使われている

同調査は用途も集計しています。ソルビトールの用途は菓子が19件で最も多く、次いで加工食品・冷凍食品が7件。菓子の中では「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」と「和生菓子・洋生菓子」が多く、加工食品では水産練り製品での使用が多い、とされています。

和生菓子は上位に入っています。餡や求肥のように水分の多い菓子で、離水と硬化をどう抑えるかは共通の課題です。


目的が変わると表示が変わる

ここが本題です。ソルビトールは食品添加物なので、原材料表示では添加物として書きます。ただし書き方が一通りではありません。

消費者庁の資料は、食品添加物は原則としてすべて物質名で表示されるとしたうえで、使用目的や効果によっては用途名を物質名と一緒に表示する、という例外を示しています。併記が必要な用途名として挙げられているのは、甘味料、着色料、保存料、増粘剤・安定剤・ゲル化剤又は糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤又は防ばい剤です。

甘味料はこの中に入っています。まず疑うべきはここです。ソルビトールには甘味があり、先の調査でも上位に挙がっている使用理由は甘味・風味に関わるものでした。甘味料として使っているなら、「甘味料(ソルビトール)」のように用途名を付けて書くことになります。

甘味目的でない場合は物質名だけ

離水を防ぐため、保湿のためといった目的で使う場合は、甘味料には当たりません。この場合は物質名だけを書きます。

同じ資料に載っている菓子の表示例が分かりやすいので引きます。添加物欄が「ソルビトール、膨張剤、香料、乳化剤、着色料(カラメル、カロテン)、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)」となっています。着色料と酸化防止剤には括弧で物質名が付いているのに、ソルビトールは単独で書かれています。甘味料として使えば用途名の併記が要るので、この例は甘味料以外の目的で使ったケースと読めます。

同資料はもうひとつ注記しています。ソルビトールの物質名は「D-ソルビトール」だが、簡略名の「ソルビトール」で表示している、という説明です。物質名をそのまま書かなくてもよい仕組みがあります。

両方の役割を担っているときが難しい

ここが実務でいちばん悩むところです。和生菓子では、ソルビトールが甘味と保湿の両方に効いていることが珍しくありません。片方だけの目的で入れている、と言い切れない配合が普通にあります。

「保湿のために入れたことにすれば用途名を書かなくて済む」という決め方はしないでください。甘味に寄与しているなら、それは甘味料としての使用です。どちらとして扱うかの判断は、配合と実際の効き方を踏まえて行うものです。

目的は配合設計の段階で記録しておく

何のために入れるのかを設計時に決めて、書き残してください。あとから「これは甘味料として入れたのか、保湿のために入れたのか」を思い出せないと、表示の根拠が説明できません。

表示の書き方は個別の商品によります。規格書を取り寄せたうえで、自社の表示責任者にご確認ください。


水あめは食品として書ける

添加物の表示を増やしたくない場合、水あめという選択肢があります。

同機構の調査では、でん粉由来の甘味料のうち水あめについて、菓子への使用が多く、アイスクリーム類や和生菓子・洋生菓子などでの使用も比較的多い、とされています。使用する理由には、風味を加えるため、甘味料そのものの味や風味が良いためのほか、口当たりを良くするため、色つやを良くするため、他の甘味料との併用による甘さ調整のため、離水を防ぐため、が挙げられています。その他の理由として、固形分の調整のため、生地のつなぎとするため、も出ています。

離水を防ぐという目的は、ソルビトールと重なります。ただし水あめは食品なので、原材料名に品名を書くだけで済みます。

ひとつ断っておくと、この調査でいう水あめはでん粉由来のものです。美濃与が扱う米飴は、商品ページで米を原料とする水あめと説明されています。原料が違えば糖の組成も甘さの出方も変わります。25kgの規格でご用意していますが、置き換えを検討する場合は同じものとして扱わず、試作で確かめてください。

置き換えると甘さがどちらに動くか

水あめに寄せると、そのぶん甘さが乗ります。ソルビトールで離水だけ止めていたものを水あめに置き換えると、味が変わります。同調査でも、他の甘味料との併用による甘さ調整のため、という理由が挙がっています。1種類で片付けず、組み合わせで調整するのが実際のところです。


黒糖は風味のために使われている

同じ調査で黒糖の位置づけもはっきりしています。黒糖は菓子類向けの用途が多く、主に黒糖独自の風味をつけるために利用されている、とされ、使用する理由も「商品に風味を加えるため」が29件で最多です。

日持ちや保湿のために黒糖を選ぶ人はほとんどいない、ということです。黒糖パウダーは20kgの規格で、風味づけの素材として考えるのが素直な使い方になります。

原料の規格や製造工程をまとめた資料をご用意しています。選定の判断材料としてお使いください。

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置き換えを検討するときの確認項目

確認すること なぜ見るか
何のために入れるか 甘味か、離水防止か、保湿か。用途名を併記するかどうかが決まる
食品か添加物か 砂糖・水あめは食品、ソルビトールは添加物。表示欄の分かれ方が変わる
甘さへの影響 置き換えると味が動く。単独で解こうとせず組み合わせで調整する
加熱工程の有無 焼き色をどう出したいか。褐変のしやすさが素材で違う
日持ちの検証方法 配合を変えたら実際の保存条件で確かめる。計算だけで決めない
荷姿と使用量 ソルビトールFは22kg、米飴は25kg。使用量に対して大きすぎないか
規格書 物質名、簡略名、アレルゲン、原料原産地。表示欄を書く根拠になる

よくある質問

ソルビトールを入れれば日持ちしますか

それだけで決まるものではありません。同機構の調査でも、日持ちのために使っている企業は離水防止や風味のために使っている企業と同じくらいの数です。糖の配合は日持ちを延ばす手段のひとつですが、包装形態や保存温度と合わせて設計してください。

「甘味料(ソルビトール)」と書かないといけませんか

甘味料として使う場合はそうなります。離水防止や保湿のために使う場合は、物質名だけを書くことになります。消費者庁の資料に載っている菓子の表示例でも、ソルビトールは用途名なしで書かれています。個別の商品でどう書くかは、規格書を確認したうえで表示責任者にご相談ください。

砂糖を増やすのではだめですか

甘さが許容できる商品なら選択肢になります。ただし甘さの上限は商品ごとに決まっているので、そこを超えられない場合に別の手を探すことになります。順番としては、まず甘さをどこまで上げられるかを決めてから、足りない分をどう埋めるかを考えるほうが早く決まります。

水あめとソルビトールは併用できますか

できます。同調査でも、他の甘味料との併用による甘さ調整という理由が挙げられています。役割を分けて組み合わせるほうが、1種類で解こうとするより調整の幅が残ります。

目的が甘味と離水防止の両方のときはどう書きますか

甘味に寄与しているなら、甘味料としての使用にあたります。「離水防止のつもりだから物質名だけでよい」という整理はできません。配合の狙いと使用量をお聞かせいただければ、表示の書き方も含めてご相談できます。


あわせて読みたい

参考:農畜産業振興機構「食品メーカーにおける甘味料の利用形態」消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」


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美濃与は明治35年の創業から、京都で和菓子の原料を扱ってきました。日持ちや食感の相談は、糖の設計から見直すと解けることがあります。配合の狙いから逆算したご相談も承っています。

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