柿を使った商品で起きやすいのが、甘いのに味が決まらないという状態です。
原因は配合ではなく素材の性格にあります。柿は酸味が少ない果実です。これは長所でもあり、そのままでは味の輪郭が出ないという弱点でもあります。

3形態すべてに「酸味が少ない」と書かれている
美濃与で扱っている柿は3形態です。商品ページの説明を並べると、同じ性質が繰り返し出てきます。
| 形態 | 商品ページの説明 | 保管 | 規格 |
|---|---|---|---|
| 柿ジャム | やさしい甘みとコクがあり、酸味が少ないため素材の味を邪魔せず幅広い食品と組み合わせやすい | 要冷蔵 | 9L |
| 生柿ペースト | やさしい甘みと自然なコクがあり、酸味が少ないため他素材と組み合わせやすい | 記載なし(要確認) | 要確認(お問い合わせください) |
| 甘柿ピューレ | やさしい甘みと濃厚なコクがあり、酸味が少ないため他素材と合わせやすい | 冷凍 | 2kg×7P |
3品とも「酸味が少ない」という同じ言葉で説明されています。これは形態の違いではなく、柿という果実そのものの性格です。どの形態を選んでも、ここは変わりません。
商品ページ自身が組み合わせを勧めている
この性格をどう扱うかについて、商品ページに答えが書かれています。
柿ジャムは、他の果実と混ぜて使えるかというFAQに可能です。酸味のある果実と組み合わせることで、味のバランスを調整できますと答えています。生柿ペーストも同じ問いに可能です。酸味のある果実と組み合わせることで、味のバランス調整がしやすくなりますとしています。
つまり柿は単独で味を決める素材ではなく、他の素材と組ませることで完成する素材だという前提で作られています。柿だけで押し切ろうとすると、甘さは出るのに印象が残らない、という結果になります。
何を足すかで商品の性格が変わる
組み合わせる相手によって、出来上がりの方向はまったく変わります。
- 柑橘を足す——輪郭が出て後味が軽くなる。柚子のように香りと酸味を同時に持つ素材なら、香りの層も加わります
- 乳製品を足す——柿ジャムはヨーグルト、アイス、ムースが用途に挙げられており、甘柿ピューレも柿のやさしい甘みが乳製品とよくなじみ、自然なコクと色合いを加えるとされています。酸味は足りないままですが、コクで満たす方向です
- 和素材と合わせる——酸味がないぶん、餡や味噌のような甘みのある素材とはぶつかりません。ただし全体が単調にならないよう、どこかに締めが要ります
柿を主役にするなら、脇に何を置くかを先に決めてください。柿の量を増やしても味は締まりません。
原料の規格や製造工程をまとめた資料をご用意しています。選定の判断材料としてお使いください。
柿は加熱に強い
果実の加工品としては、扱いやすい部類です。
柿ジャムは加熱の可否を問うFAQに使用できます。焼成や再加熱後も風味が安定していますと答えています。生柿ペーストも使用できます。加熱後も柿の甘みと風味が残りやすいペーストです、甘柿ピューレも加熱後も柿の甘みと風味が残りやすいピューレですとしています。
3形態とも、焼成や再加熱に回せます。香りが飛びやすい果実だと生地に練り込めないことがありますが、柿にはその制約がありません。柚子は形態によって使いどころが変わりますが、柿は形態を問わず使えます。
焼成後も流れにくい
製パンで効いてくる記載もあります。柿ジャムは粘度が安定しており、焼成後も流れにくいため、製パン工程でも扱いやすいとされ、生柿ペーストも菓子パンや包餡、折り込み用フィリングとして粘度が安定しており、焼成後も流れにくいと説明されています。
包餡したフィリングが焼成中に流れ出るのは、製パンでよくある不具合です。この2品はその点で設計されています。
形態の違いは加工の自由度と保管に出る
味の性格が3品で共通している以上、選定の基準は別のところに移ります。
果実感をどこまで残すか
柿ジャムは過度な裏ごしは行わず、なめらかさの中に自然な果実感を残していますとされ、果肉感を問うFAQでもなめらかさをベースにしつつ、柿由来の自然な果実感が残る仕上がりですと答えています。
甘柿ピューレも裏ごしを行いすぎず、なめらかさの中に自然な果実感を残していますという同じ書き方です。生柿ペーストはなめらかな質感の中に、柿由来の果実感が残る仕上がりとされています。
3品とも果実感を残す方向で作られているので、完全になめらかな仕上がりを求めるなら、自社側で追加の裏ごしが要ります。ムースやクリームに使う場合は、この工程を見込んでおいてください。
保管条件が3品で違う
実務で最初に効いてくるのはここです。柿ジャムは要冷蔵、甘柿ピューレは冷凍です。生柿ペーストの商品ページには保管条件の記載がありません。商品名にも「要冷蔵」「冷凍」の表記がないので、常温品と判断せず、規格書で確認するか個別にお問い合わせください。
甘柿ピューレは冷凍品のため品質が安定しやすく、必要量だけ解凍して使えるとされていますが、解凍後の再冷凍については品質低下の恐れがあるため、解凍後の再冷凍は推奨していませんとしています。解凍方法は冷蔵解凍または流水解凍がおすすめで、完全解凍後、軽く攪拌してから使用してくださいと記載があります。
2kg×7Pという荷姿なので、1袋を解凍したらその2kgを使い切る前提になります。
色は動くことがある
生柿ペーストのFAQには、色味の変化について原料由来で多少の色調変化が生じる場合がありますが、品質には問題ありませんという記載があります。
農産物を加工した原料なので、ロットによって色が揃わないことがあります。断面の色を商品の要件にしている場合は、この振れ幅を見込んでおいてください。色を厳密に合わせたい商品では、着色で調整するのか、振れを許容するのかを先に決めることになります。
飲料に使えるのは冷凍だけ
用途の広がりでひとつ差があります。
甘柿ピューレはスムージー、ジュース、シェイクが用途に挙げられており、解凍後も風味が損なわれにくく、他の果実や乳製品と組み合わせた味設計がしやすいとされています。飲料の用途が明記されているのはこの1品です。
柿ジャムと生柿ペーストは、製菓・製パン・ソースが中心です。飲料の商品を検討しているなら、冷凍のピューレから見てください。
作る商品から候補を絞る
| 作りたいもの | 候補 | 商品ページの根拠 |
|---|---|---|
| 焼き菓子の生地に入れたい | 3形態とも可 | 焼成や再加熱後も風味が安定/加熱後も甘みと風味が残りやすい |
| 包餡・折り込みに使いたい | 柿ジャム/生柿ペースト | 粘度が安定しており焼成後も流れにくい |
| 飲料に使いたい | 甘柿ピューレ | スムージー、ジュース、シェイクに使用できる |
| 乳製品と合わせたい | 甘柿ピューレ/柿ジャム | 乳製品とよくなじみ自然なコクと色合いを加える |
| 味を締めたい | 酸味のある素材と併用 | 酸味のある果実と組み合わせることで味のバランスを調整できる |
| 必要量だけ使いたい | 甘柿ピューレ | 冷凍品のため必要量だけ解凍して使える |
発注前に確認しておく項目
| 確認すること | なぜ見るか |
|---|---|
| 何と組み合わせるか | 柿は酸味が少ない。単独では味が締まらないので脇の素材を先に決める |
| 保管条件 | 要冷蔵と冷凍が混在する。生柿ペーストは記載がないので個別に確認する |
| 1回の解凍量 | 冷凍品は再冷凍を推奨していない。2kg単位で使い切れるか |
| 果実感の残し方 | 3品とも果実感を残す方向。なめらかにするなら自社で裏ごしが要る |
| 色の振れ幅 | 原料由来で色調が変わることがある。断面の色を要件にするなら見込む |
| 焼成後の流れ | 包餡・折り込みなら粘度の記載がある銘柄を選ぶ |
| 飲料に使うか | 飲料の用途が明記されているのは冷凍のピューレ |
よくある質問
柿だけで作ると味がぼやけます
柿は酸味が少ない果実です。商品ページも、酸味のある果実と組み合わせることで味のバランスを調整できる、としています。柿の量を増やしても輪郭は出ないので、柑橘のような酸味のある素材を脇に置くか、乳製品でコクを足す方向で設計してください。
焼き菓子の生地に練り込めますか
3形態とも使えます。柿ジャムは焼成や再加熱後も風味が安定している、ペーストとピューレは加熱後も甘みと風味が残りやすい、と記載があります。香りが飛びやすい果実と違い、加熱工程の制約がない素材です。
ロットによって色が変わりますか
生柿ペーストのFAQに、原料由来で多少の色調変化が生じる場合があるが品質には問題ない、という記載があります。農産物なので振れは出ます。断面の色を商品の要件にするなら、その前提で設計してください。
完全になめらかにしたいのですが
3品とも裏ごしを行いすぎず果実感を残す方向で作られています。ムースやクリームのように均一さを求める用途では、自社側で追加の裏ごしを見込んでください。工程を増やしたくない場合は、狙う質感をお聞かせいただければご相談できます。
柚子や梅と組み合わせてもいいですか
噛み合う組み合わせです。柿に足りないのは酸味なので、柑橘や梅のように酸味を持つ素材とは補い合います。ただし柚子は形態によって加熱に耐えるかが分かれ、梅は搾汁と糖抽出で甘さの入り方が違います。組み合わせる相手の性格も確認したうえで設計してください。
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柿は、単独で味を決めようとすると難しい素材です。逆に、脇に置くものが決まっていれば扱いやすい素材でもあります。3形態とも加熱に強く、包餡にも飲料にも回せるので、組み合わせが決まればあとは工程に合う形を選ぶだけです。
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