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寒梅粉と上南粉の違いは?落雁に使う米粉を製法で整理する

2026年8月27日

もち米を起点に、寒梅粉・道明寺粉・味甚粉・落雁粉・上南粉・みじん粉が製法で分かれることを示した図
目次

落雁や打ち物の材料を探すと、「寒梅粉」「上南粉」「落雁粉」「味甚粉」「みじん粉」と、似た粉の名前がいくつも出てきます。どれも米が原料で見た目も近いため、レシピにある名前と手元の在庫が一致せず、代用してよいのか判断に迷う場面があります。

混乱の原因は、名前が製法と一対一で対応していないことにあります。同じ名前が資料によって別の粉を指す場合すらあります。

ここでは農林水産省と全国穀類工業協同組合の資料をもとに、これらの粉を加熱の工程で並べ直します。なお以下の分類は、2つの資料を見比べるために本記事で便宜的に整理したもので、公的に定められた区分ではありません。


まず全体像を一覧で確認する

和菓子に使う米の粉は、加熱の有無と加熱の仕方で並べると見通しがよくなります。

もち米を起点に、寒梅粉・道明寺粉・味甚粉・落雁粉・上南粉・みじん粉が製法で分かれることを示した図
和菓子に使う米粉の製法系統図(農林水産省・全国穀類工業協同組合の資料より作成)
粉の名前 原料 製法 加熱の工程
寒梅粉 もち米 蒸して餅にし、薄く伸ばして焼いてから粉末にする 餅にして焼く
道明寺粉 もち米 浸漬・水切りののち蒸煮、乾燥、粉砕して大中小に篩分け 蒸して乾燥
味甚粉 もち米 蒸煮・乾燥・粉砕・篩分けののち焙煎する 蒸して乾燥+煎る
落雁粉 資料により異なる 組合資料では道明寺粉をさらに細かくして煎り上げたもの。農林水産省の資料では、蒸さずに煎る早みじん粉の細かいものをそう呼ぶ場合があると記載 資料により異なる
上南粉 もち米・うるち米 蒸して乾燥させた米を低温で平煎りしてから製粉(粉にしてから煎る場合もある) 蒸して乾燥+煎る
みじん粉 もち米・うるち米 農林水産省の資料では高温で平煎りした上南粉で焦げ色がつくとされ、組合資料では「味甚粉(みじん粉)」として蒸煮・乾燥・粉砕・焙煎の工程で記載 資料により異なる
上新粉 うるち米 精白後、水洗い・水切り・乾燥させて粉砕し篩にかける 生のまま挽く
もち粉 もち米 水洗い・水切り・乾燥させて粉砕し篩にかける 生のまま挽く
白玉粉 もち米 水びきののち脱水し、ケーキ状のものを細断して乾燥させる 生のまま挽く

出典農林水産省「米粉の種類と特性」全国穀類工業協同組合「米粉の種類」より作成

落雁や打ち物に使われる粉は、加熱の工程で見ると次のように並びます。ただし工程は重なる部分があり、きれいに排他的な区分になるわけではありません。


餅にしてから焼く粉(寒梅粉)

寒梅粉は、もち精米を一度餅にしてから薄く伸ばし、焼き上げて粉末にします。餅にする工程を通る点が、他の粉と大きく違うところです。

用途としては、落雁などの干菓子や豆菓子の原料に使われます。名前の由来は、寒梅の花が咲く時期に新米を粉にしたことにあると伝えられています。

餅にしてから焼く工程を通るため、でんぷんは糊化した状態にあります。


蒸して乾燥させる粉(道明寺粉とその周辺)

組合資料では、道明寺粉と味甚粉は蒸煮・乾燥・粉砕まで共通する工程をもち、落雁粉は道明寺粉から作ると説明されています。

組合資料では道明寺粉が起点になる

道明寺粉は、蒸したもち米を乾燥させて砕き、大・中・小の粒度に篩分けたものです。桜餅(関西風)に使われる粒感のある粉として知られています。

組合資料では、焙煎すると味甚粉になる

全国穀類工業協同組合の記述では、味甚粉は道明寺粉と同じ工程を経たのち、焙煎したものとされています。蒸して砕くところまでは同じで、最後に火を入れる点が異なります。

組合資料では、細かくして煎ると落雁粉になる

同じ資料では、落雁粉は道明寺粉をさらに細かくして煎り上げたものと説明されています。つまり組合資料の定義に従えば、落雁粉は名前に反して寒梅粉の仲間ではなく、道明寺粉から派生した粉ということになります。

この点は、落雁に使う粉を探している人ほど戸惑うところです。「落雁粉」という名前から寒梅粉と同じものを想像しますが、組合資料の定義では道明寺粉から作られる別の粉です。


煎って仕上げる粉(上南粉・みじん粉)

上南粉は、蒸して乾燥させた米を低温で平煎りしてから製粉します。粉にしてから煎る場合もあり、工程の順序は一通りではありません。原料はもち米・うるち米の両方が記載されています。

農林水産省の分類では、この上南粉を高温で平煎りして焦げ色をつけたものがみじん粉とされています。別の粉ではなく、煎りの強さによる違いという整理です。

ただし全国穀類工業協同組合の資料では、「味甚粉(みじん粉)」として蒸煮・乾燥・粉砕・焙煎の工程で説明されています。同じ「みじん粉」という名称でも、資料によって位置づけが異なります。


「落雁粉」「みじん粉」は資料によって指すものが変わる

ここまでで、名称の揺れが2か所あることが確認できました。

名称 農林水産省の資料 全国穀類工業協同組合の資料
落雁粉 早みじん粉の細かいものを落雁粉と呼ぶ場合があるとの記載 道明寺粉をさらに細かくして煎り上げたもの
みじん粉 高温で平煎りした上南粉。焦げ色がついている 「味甚粉(みじん粉)」として蒸煮・乾燥・粉砕・焙煎の工程で記載

加えて、流通の現場には寒梅粉に「落雁粉」を併記した商品が存在します。美濃与の商品名もその一例で、「寒梅粉(落雁粉)」と表記しています。

どちらかが誤りというわけではありません。名称の背景は一様ではなく、資料や商品によって定義が分かれています。ただし発注の場面では、この揺れが行き違いにつながります。


糊化しているかどうかで、使える菓子が分かれる

米の粉は、でんぷんが糊化しているかどうかで大きく分かれます。糊化済みのものをアルファ型、未糊化のものをベータ型と呼びます。

寒梅粉・上南粉・道明寺粉などはアルファ型です。上新粉・もち粉・白玉粉はベータ型で、加熱していません。

ここで注意したいのは、アルファ型であることが意味するのはでんぷんが糊化済みだということであって、水分を加えずに固まるということではない点です。

全国穀類工業協同組合が説明する落雁の作り方は、米粉に砂糖と水あめを混ぜて固め、木型に入れて押し出すというものです。実際の打ち物でも、蜜や水あめによる水分の与え方が成形性を左右します。粉が糊化済みかどうかと、成形にどれだけ水分が要るかは別の問題です。


粒度は仕上がりを左右するが、等級名では比較できない

同じ寒梅粉でも、挽きの細かさによって複数の規格があります。粒度が細かいほど砂糖となじみやすく、粗いほど粒立ちが残ります。

ただし、どの粒度がどの菓子に合うかは、砂糖の種類、蜜の入れ方、木型の深さ、打ち込む力によって変わります。粒度だけで決まるものではありません。

また、カタログ上の「特上」「極」といった等級表記は、業界共通の統一規格とは限りません。等級名が同じでも他社品と粒度が一致するとは限らないため、切り替えを検討する際はメッシュや粒度分布を規格表で確認し、実際に試作したうえで判断してください。


発注時に確認したい4項目

名称の揺れに振り回されないためには、次の4点を規格で押さえておけば足ります。

確認項目 なぜ必要か
原料はもち米かうるち米か 上南粉やみじん粉は両方の記載があり、名称だけでは決まらない
加熱工程は何か 餅にして焼く/蒸して乾燥する/煎る、で性質が変わる
焙煎の有無と度合い 色と香りが変わる。同じ名称でも焙煎の強さが違う場合がある
粒度(メッシュまたは粒度分布) 等級名では他社品と比較できない

この4点を押さえておけば、商品名の呼び方が違っても大きな取り違えは避けられます。なお、他の粉を配合したミックス品もあるため、単一原料かどうかもあわせて確認しておくと確実です。


美濃与で扱う寒梅粉・上南粉

美濃与では、寒梅粉と上南粉をそれぞれ複数の規格で扱っています。商品名には流通上の慣習にならって「寒梅粉(落雁粉)」「上南粉(味甚粉)」と併記していますが、前述のとおり一般名称としては別の粉を指す場合があります。実際の規格は個別にご確認ください。

用途と現在お使いの粉をお伝えいただければ、粒度の近いものをいくつか挙げてご提案します。切り替えを前提とする場合は、試作用のサンプルからお試しいただけます。


よくある質問

寒梅粉と上南粉は代用できますか

製法が違うため、同じ配合のまま置き換えると仕上がりが変わります。水分の与え方や打ち込む力を調整したうえで、試作で確認してから切り替えてください。

落雁粉と書かれていたら寒梅粉を買えばよいですか

商品によって指すものが異なります。寒梅粉に落雁粉を併記している商品もあれば、道明寺粉由来の粉を落雁粉として販売している場合もあります。原料と製法を確認してから発注してください。

上新粉で落雁は作れますか

加熱工程のない一般的な打ち物で、そのまま置き換えるのには向きません。上新粉はうるち米を生のまま挽いた未糊化の粉のためです。

白玉粉とはどう違いますか

白玉粉はもち米を水びきし、脱水・乾燥させたもので、でんぷんは未糊化です。練って加熱する菓子に使う粉で、加熱せずに押し固める菓子にそのまま使うのには向きません。

開封後はどう保管しますか

吸湿を避けるため、密閉して直射日光と高温多湿を避けて保管してください。大袋で仕入れる場合は、使う分を小分けにして残りを密閉しておくと状態を保ちやすくなります。


業務用の調達・サンプル請求はお気軽にご相談ください

美濃与は京都に拠点を置く京菓子原材料の専門店です。本記事で取り上げた寒梅粉・上南粉・道明寺粉の業務用調達や、お試しサンプル、ロット・規格のご相談など、和菓子製造の現場に寄り添った提案を行っています。

美濃与の事業内容や強みは 事業内容・選ばれる理由 をご覧ください。実際のお取引の流れは 導入の流れ・発注方法、ご質問は よくあるご質問 にまとめています。個別のご相談は お問い合わせ または 資料ダウンロード から受け付けています。

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