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葛粉の種類と違いを知っていますか?
和菓子作りに欠かせない葛粉。透明感のある美しい仕上がりと、独特のもっちりとした食感が魅力です。
ただし仕入先から届く見積を並べると、同じ「葛粉」でも価格帯が大きく分かれます。実は、葛粉には「本葛」と「加工葛」という大きな違いがあり、原料や製法、用途が全く異なります。
本記事では、葛粉を本葛と加工葛の2つに分けて、原料、製法、価格、食感の違い、用途別の最適な選び方まで詳しく解説します。
本葛とは?葛根100%の最高級品
本葛は、葛の根から採取したでんぷん100%で作られる最高級の葛粉です。
葛はマメ科のつる草で、夏の間に光合成で養分を蓄え、秋から冬にかけて根にでんぷんを貯めます。冬の山で掘り出された葛の根は、粉砕・水晒し・沈殿という伝統的な「吉野晒」の製法で精製されます。この製法では、撹拌・沈殿・水の入れ替えを繰り返し、あくや苦みを取り除きます。

本葛の特徴は、透明感のある美しい仕上がりと、なめらかで上品な食感です。他の澱粉と比べて粘りは弱い一方で、なめらかさが際立ち、扱いやすいという利点があります。葛餅や葛きりなどの高級和菓子に使用され、独特の透明度と弾力性を生み出します。
ただし本葛は葛の収穫量が少なく、精製にも手間がかかるため非常に高価です。そのため、外国産の粗製葛(未精製の葛澱粉)を原料にする場合もあります。
出典中井春風堂「生涯葛道『葛塾』6種類の澱粉比較」(※現在サイトが表示できない状態のため、リンクを外しています)
加工葛とは?他の澱粉を混ぜた葛粉
加工葛は、葛澱粉に他の澱粉を混ぜた製品です。
戦後、九州ではさつま芋のでんぷんを葛粉として販売する業者が現れました。山野に自生する葛の根を掘り集めてもわずか1割しかでんぷんが取れない葛に対し、さつま芋は栽培ができ、でんぷん含量も高いため、安価で大量に作ることができたからです。

現在、一般的に「葛粉」として販売されているものの多くは、葛澱粉に他の澱粉を混ぜたものです。天極堂は、土産物屋や量販店で売られる「吉野葛」の一括表示には「葛澱粉、澱粉」あるいは「葛澱粉、甘藷澱粉」などの記載がある、としています。これらは本葛より弾力が強く出る傾向があります。
加工葛は本葛に比べて価格が安く、日常的な和菓子作りに適しています。ただし、透明感や滑らかさは本葛に劣ります。購入時は原材料表示で何のでん粉が入っているかを確認し、配合比は規格書で押さえてください。原材料表示は重量順の列挙で、含有率までは書かれません。
出典天極堂「吉野本葛の原料となる葛の根の原料原産地について」より作成
本葛と加工葛の見分け方
見分けるポイントは3つあります。
1. 原材料表示の確認
本葛は「葛澱粉100%」または「吉野本葛」と表示されています。加工葛は「葛粉」と表記され、原材料に「甘藷澱粉」「馬鈴薯澱粉」などが含まれます。
2. 価格の違い
本葛と加工葛では価格帯が大きく離れます。極端に安いものは他のでん粉を混ぜた製品だと考えて、原材料表示を確認してください。

3. 仕上がりの透明感
本葛で作った葛餅は黄色っぽく透明感があります。加工葛は無色透明に近いか、やや白っぽく仕上がります。馬鈴薯澱粉が多く含まれるものは、特に透明度が高くなります。
また、時間が経つと白く濁ってくる度合いにも差が出ます。どの程度で変わるかは実際に試して確かめてください。
出典中井春風堂「生涯葛道『葛塾』6種類の澱粉比較」(※現在サイトが表示できない状態のため、リンクを外しています)
用途別の葛粉の選び方
どう使い分けるべきでしょうか?
看板商品・贈答向け
本葛(吉野本葛)を選びましょう。透明感のある美しい仕上がりと、なめらかで上品な食感が特徴です。葛餅、葛きり、葛饅頭など、葛本来の風味を楽しむ和菓子に最適です。
日常的な和菓子作り
加工葛(吉野葛)が適しています。本葛より弾力が出やすく、価格も手頃です。わらび餅風の菓子や水まんじゅうなど、量を作る定番商品に向いています。

料理のとろみ付け
馬鈴薯澱粉(片栗粉)で十分です。葛粉は高価なため、料理用には代用品を使うのが一般的です。ただし、葛湯など葛の風味を活かしたい場合は本葛を使いましょう。
簡便性重視
美濃与の「葛菓子の友」「新葛もちの友」などのオリジナル商品もあります。これらは主原料と併用する配合用の原料で、仕上がりを安定させる目的の品です。単体で使うものではありません。
選ぶ際は、作りたい和菓子の種類、予算、求める品質のバランスを考えることが大切です。
業務用では「全部を本葛にするか」で考えない
価格差が大きい原料なので、業務用ではどこに使うかを絞るのが現実的な進め方になります。全商品を本葛に切り替えるのではなく、本葛の良さが見える商品にだけ使うという考え方です。
透明感が売り物になる商品かどうか
本葛の特徴は透明感となめらかさです。これが客に見える商品かどうかが判断の軸になります。葛切りや葛饅頭のように、透明度そのものが商品の見どころになるものなら差が出ます。一方、餡を包んで色が乗る菓子や、他の素材と混ぜて食感を作る菓子では、差が伝わりにくくなります。
価格差を乗せられる商品と、乗せられない商品を分ける。そのうえで、乗せられない側には加工葛や他のでん粉を使う。この形なら、原価全体を押し上げずに看板商品を立てられます。
表示の書き分けを先に決める
見落とされやすいのが原材料欄です。本葛を使うのか、他のでん粉を混ぜた製品を使うのかで、書く内容が変わります。混合品なら、混ざっているでん粉もそれぞれ原材料欄に出ます。
商品によって使う粉を変えるなら、商品ごとに原材料欄が変わるということです。パッケージを共通化している場合はここで詰まります。どの商品にどの粉を使うかを決めてから、表示とパッケージの設計に入ってください。順番を逆にすると刷り直しになります。
仕入れる粉が何なのかは規格書で確認する
「葛粉」という名前で流通しているものの中身は一通りではありません。製品名や通称ではなく、規格書に書かれた原料で判断してください。この考え方は専用粉の記事でも扱っています。名前から中身を推測して表示を作らないでください。
でん粉の表示については、加工でん粉に当たる場合に添加物として扱われることがあります。アルファ化でん粉の記事で整理しています。
まとめ:葛粉選びは用途と品質のバランスで
葛粉の種類と違いについて解説してきました。
本葛は葛根100%の最高級品で、透明感のある美しい仕上がりと上品な食感が特徴です。一方、加工葛は他の澱粉を混ぜた製品で、価格が手頃で日常使いに適しています。見分け方は原材料表示、価格、仕上がりの透明感の3つのポイントで判断できます。
用途に応じて使い分けることが、美味しい和菓子作りの秘訣です。高級和菓子や贈答には本葛を、日常的な和菓子作りには加工葛を選びましょう。美濃与では、本葛、随一本葛など最高級品から、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉まで、幅広い澱粉類を取り揃えています。
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