栗の原料を選ぶとき、最初に決めることは産地でも粒の大きさでもありません。甘さを自社で付けるか、付いた状態で仕入れるかです。
ここが決まらないと、砂糖の配合も日持ちの設計も動かせません。

甘味を付けていない栗と、蜜煮にした栗
美濃与で扱っている栗は5銘柄あり、この軸で2つに分かれます。
| Brand | 甘味付け | 形 | 保管 | Specification |
|---|---|---|---|---|
| Boiled Marron | なし | 粒の形が比較的そろう | 冷凍 | 900g×10P |
| Frozen Domestic Chestnut Paste | なし | Pastes | 冷凍 | 2kg |
| Shibukawa Chestnut Kanroni | 蜜煮 | 粒。渋皮あり | 規格書でご確認ください | 9L・1/06 |
| マロン甘露煮 一級品 | 蜜煮 | 粒 | 開封後は冷蔵 | 9・1/06 |
| マロン甘露煮 特軟品 | 蜜煮 | 粒 | 開封後は冷蔵 | 9・1/06 |
ボイルドマロンの商品ページは、味付けの有無を問うFAQに基本的な下処理とボイルのみで、甘味付けは行っていませんと答えています。冷凍国産栗ペーストも過度な加熱や味付けを行わず、素材の持ち味を活かしているとされています。
甘味を付けていない栗は、糖度の設計が自社に残る
これは自由度であると同時に、責任でもあります。
ボイルドマロンの説明は甘露煮ほど甘みを加えていないため、砂糖やクリームとのバランス調整がしやすく、栗の自然な風味を活かせるとしています。冷凍国産栗ペーストも用途に応じた甘味や風味の調整がしやすいという書き方です。
砂糖の量を自分で決められるということは、糖度が日持ちに与える影響も自社で持つということです。糖を減らして素材感を出す設計にすると、そのぶん商品の日持ちは短くなります。ここを工程や包装で吸収できるかを、配合を決める前に確認してください。
一級品と特軟品は用途を伝えて選ぶ
マロン甘露煮には一級品と特軟品の2銘柄があり、どちらも国産栗を糖液で煮上げた甘露煮です。2品は用途によって向き不向きが変わるため、包餡に使うか盛り付けに使うかを伝えたうえで、発注前にお問い合わせください。甘露煮の種類ごとの比較は「マロン甘露煮は特軟品・一級品・渋皮栗で何が違う?」でも扱っています。
甘露煮はシロップに浸かった状態が前提
対して甘露煮のほうは、保存の考え方が違います。
マロン甘露煮の商品ページは、開封後の保存方法について開封後は冷蔵庫で保存し、お早めにお使いください。シロップに浸かった状態で保存することで風味を保てますと答えています。なお渋皮栗甘露煮のページには保存方法の記載がありません。
つまり、シロップから引き上げた栗を裸のまま置くことは想定されていません。使う分だけ引き上げ、残りは浸けたまま冷蔵するという運用になります。1日の仕込みで何粒使うかを決めておかないと、引き上げた栗が余ります。
日持ち向上の考え方は保存料と日持ち向上剤の違いでも扱っています。
原料の規格や製造工程をまとめた資料をご用意しています。選定の判断材料としてお使いください。
崩れるかどうかは銘柄で書き分けられている
栗の相談で多いのが、加工の途中で崩れるというものです。商品ページには、この点についての記載があります。
ボイルドマロンは粒の形が比較的そろっており、加工後も崩れにくいため、練り込みや成形用途にも扱いやすいとされています。渋皮栗甘露煮はカットの可否を問うFAQに可能です。果肉がしっかりしているため、カット後も形が崩れにくいですと答えています。
形を保ちたい工程があるなら、この2つが候補になります。
崩れにくさは加工の段階で決まる
ここで注意したいのは、崩れにくさが後工程でどうにかなるものではないという点です。
栗は下処理と加熱をどこまでかけたかで、身の締まり方が決まります。仕入れた時点で柔らかい栗を、混ぜ方や温度で締め直すことはできません。断面に栗を見せたい商品なら、崩れにくいと書かれている銘柄から選ぶ。これが順序です。
逆に、なめらかさを狙うならペーストが直接の答えになります。冷凍国産栗ペーストはなめらかな質感で成形しやすく、栗本来の味を活かした和菓子づくりに適しているとされ、栗きんとん、練り切り、羊羹が用途に挙げられています。
粒からペーストを作ることもできる
ボイルドマロンの商品ページは、ペースト、ダイス、スライス加工などのベース素材として使用でき、用途に応じた二次加工がしやすいとしています。
粒とペーストの両方を使う商品を作っているなら、1銘柄から2つの形を作る手もあります。ただしその場合、加工の手間と歩留まりが自社側に乗ります。年間の使用量が大きいほど、最初からペーストで仕入れるほうが合うということになります。どちらが有利かは数量で変わるので、使用量をお聞かせいただければご相談できます。
渋皮を残すかどうかで味の設計が変わる
渋皮栗甘露煮は、粒の栗のなかでも性格が違います。
商品ページは、渋皮を残したまま丁寧に下処理を行い、形を崩さずに蜜煮に仕上げた甘露煮で、渋皮由来のほろ苦さと栗本来のコクのある甘みが重なり、奥行きのある味わいが特長だとしています。
えぐみを心配する声に対しては、FAQで下処理を行っているため、えぐみは抑えられ、栗の甘みと調和した味わいですと答えています。
甘い商品ほど渋皮が効く
渋皮のほろ苦さは、糖度の高い商品で意味を持ちます。商品ページも渋皮付きならではの風味が和菓子の甘さを引き締め、断面にも高級感を与えますとしています。
羊羹や最中のように餡と合わせる菓子では、栗まで甘いと全体が単調になります。甘さを足すのではなく、締めるために栗を入れるという設計なら、渋皮ありが噛み合います。
見た目の話もあります。9Lという大きめのサイズで、丸ごと使用してもカットしても仕上がりが美しくなる、とされています。断面に栗を見せる商品では、粒の大きさがそのまま商品の印象になります。
産地を要件にできるかは銘柄で違う
原料原産地を仕様に書く必要がある場合、ここは先に確認してください。
冷凍国産栗ペーストの商品ページには熊本県・愛媛県・茨城県産の国産栗を使用していますと明記されています。県名まで出ている銘柄はこれだけです。
マロン甘露煮は、産地を問うFAQに国産栗を使用しています。産地・品種についてはお問い合わせくださいと答えています。国産であることは示されていますが、県名や品種はページ上では確定しません。
パッケージや仕様書に産地を書く予定があるなら、発注前に確認してください。農産物なので、年によって産地が動く可能性もあります。決め打ちで印刷すると刷り直しになります。
栗は季節商材として動く
栗を使う商品は秋に集中します。マロン甘露煮の商品ページも、用途に栗きんとん・甘露煮、モンブラン・洋菓子、タルト・パイ類を挙げています。
ここで効いてくるのが荷姿です。ボイルドマロンは900g×10P、冷凍国産栗ペーストは2kg。冷凍品なので、必要量だけ解凍して使えます。
ただし冷凍品には制約があります。冷凍国産栗ペーストは、解凍後の再冷凍について品質低下の恐れがあるため、解凍後の再冷凍は推奨していませんとしています。解凍方法は冷蔵解凍がおすすめで、完全解凍後、軽く攪拌してから使用してくださいとされています。
2kgを解凍したらその分は使い切る前提になります。ピーク時と閑散期で1日の仕込み量が大きく変わるなら、解凍の単位が運用に合っているかを見てください。葉物資材の年間の押さえ方は和菓子の季節資材はいつ押さえる?で整理しています。
仕上がりから候補を絞る
| 狙う仕上がり | 候補 | 商品ページの根拠 |
|---|---|---|
| 砂糖の量を自社で決めたい | ボイルドマロン/冷凍国産栗ペースト | 甘味付けは行っていない/用途に応じた甘味の調整がしやすい |
| 断面に栗の形を見せたい | 渋皮栗甘露煮/ボイルドマロン | カット後も形が崩れにくい/加工後も崩れにくい |
| 甘さを引き締めたい | Shibukawa Chestnut Kanroni | 渋皮付きならではの風味が和菓子の甘さを引き締める |
| なめらかな餡やクリームにしたい | Frozen Domestic Chestnut Paste | なめらかな質感で成形しやすい |
| 産地を仕様に書きたい | Frozen Domestic Chestnut Paste | 熊本県・愛媛県・茨城県産の国産栗を使用 |
| 下処理の手間をなくしたい | Boiled Marron | 加熱済みで皮むきや下茹での手間が不要 |
| 粒とペーストを両方使いたい | Boiled Marron | ペースト・ダイス・スライス加工のベース素材にできる |
発注前に確認しておく項目
| 確認すること | なぜ見るか |
|---|---|
| 甘味を自社で付けるか | 最初の分かれ目。糖度と日持ちの設計をどちらが持つかが決まる |
| 形を残す工程があるか | 崩れにくさは仕入れの時点で決まる。後工程では戻せない |
| 渋皮の要否 | 糖度の高い商品では、ほろ苦さが味を締める |
| 産地の記載 | 県名まで出ている銘柄は限られる。仕様に書くなら先に確認する |
| 1回の解凍量 | 冷凍品は再冷凍を推奨していない。ピーク時と閑散期で合うか |
| 甘露煮の運用 | シロップに浸けたまま冷蔵する前提。引き上げた分は余らせない |
| 一級品か特軟品か | 違いは規格書で確認し、用途を伝えて選定する |
Frequently asked questions
甘露煮とボイルドマロンはどちらが使いやすいですか
目的で決まります。甘露煮は甘さが付いた状態なので配合が固まっている商品に向き、ボイルドマロンは甘味付けをしていないため砂糖やクリームとのバランスを自分で決められます。既存商品の味を再現したいなら甘露煮、新しく設計するならボイルドマロンから検討してください。
加工の途中で栗が崩れます
後工程では戻せません。ボイルドマロンは加工後も崩れにくい、渋皮栗甘露煮はカット後も形が崩れにくい、と商品ページに記載があります。形を残したい工程があるなら、この2つから選んでください。
渋皮のえぐみが出ませんか
下処理を行っているため、えぐみは抑えられ栗の甘みと調和した味わいだ、とご案内しています。糖度の高い餡と合わせる商品では、この渋皮のほろ苦さが甘さを締める働きをします。
産地を指定できますか
銘柄によります。冷凍国産栗ペーストは熊本県・愛媛県・茨城県産の国産栗を使用しています。マロン甘露煮は国産栗を使用しており、産地・品種は個別にご確認いただく形です。仕様書に産地を書く予定があれば、発注前にお知らせください。
秋の商品だけに使います。年間の押さえ方はどうすればいいですか
使う時期と数量をお聞かせください。冷凍品は必要量だけ解凍して使えますが、解凍後の再冷凍は推奨していないため、1回に解凍する単位が仕込み量と合っているかが要点になります。ピーク時と閑散期の差が大きい場合は、銘柄と荷姿の組み合わせからご提案します。
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栗は秋の商品を左右する原料です。甘さを自社で付けるかどうかを先に決めれば、候補は2つか3つに絞れます。断面をどう見せたいか、糖度をどこに置きたいかをお聞かせいただければ、そこから銘柄をご提案します。サンプルのご請求を承っています。
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